ノーマライゼーション・教育ネットワーク 会員通信 2023年秋号  ~2023年9月21日発行~    【事務局】宮城道雄 〔ホームページ〕  URL:http://www.japan-normalizatio.com/ 連絡先〈 郵便 〉〒344-0041 埼玉県春日部市増富763-1 飯島気付             〈 電話 〉090―5994―5131(宮城)             〈メール〉rsj78162@nifty.com(宮城) 新井淑則代表の葬儀に参加して                   宮城道雄  新井代表は、昨年3月に定年退職しました。その後、体調が悪く、通院して、肺がんと難病と診断され、治療困難な難病と分かり、闘病生活を続けていました。去る7月5日に寝たきり状態のまま急に亡くなられました。残念なことです。  新井淑則教育ネット代表の葬儀は7月8日午後2時から皆野町のメモリアルホール皆野において行われました。前夜の通夜は卒業生などが来ていたそうですが、葬儀は広い会場にいっぱいの方々が参列しており満席でした。会場前は沢山の花輪が飾り付けられ各方面とのつながりを感じます。会場に入ると新井先生が教室で琵琶を奏でている写真と思い出の品などが飾られ厳粛な感じでした。  教育ネットでは事務局員飯島、岩井、宮城の3名が参加。森谷は香典のみ参加でした。お坊さんがお経を唱える中で焼香がしめやかに行われました。  その後に追悼の辞が行われ、横瀬中学校時代の同僚からの新井さんの人柄を思わせる言葉や、卒業生代表の2人の方の声を詰まらせた涙ながらの追悼の深い思いが語られました。教師として慕われ尊敬されていた新井先生の姿を想起させる言葉でした。 そして喪主の長男の方から謝辞があり、また家族代表の新井さんのお姉さまにあたる方から、言葉があり、新井先生の情熱的に教師として活動してきた事柄や、宮沢賢治の雨にも負けずを毎日唱えながら病気と闘っていたなどのお話がありました。全盲になっても障害者として復職し、中学校教師として生徒に慕われ、生き生きとした教育活動をしていたのだと感動させるほどでした。  その後、弔電が披露され,沢山ありましたが,NHKのディレクターやJVTからの弔電も披露されていました。  会場で新井さんの親しい友人の高橋さんに会い、会場の写真を取ったものを後程メールで送っていただきました。また、帰りは皆野駅まで車で送ってもらいました。新井さんと一緒にリルの家をやろうと計画していた方です。新井さんの思いを大切にしてリルの家実現に向けて取り組んでいるそうです。 新井淑則先生の追悼文集、原稿募集について  今回教育ネットでは長年教育ネット代表を努めてきた新井先生をしのんで、追悼文集を作ることに決めました。つきましては多くの皆様に新井先生に関する追悼文を書いていただける方を募集します。原稿はA4用紙3枚以内でお願いします。1ページ40文字40行で10,5ポイントでお願いします。原稿締め切りは本年10月末日までです。電子データを添付して事務局の宮城まで送信して下さるようお願いします。 総会報告                                         飯島光治    2023年7月29日、1時よりの予定が、遅れて始まりました。  最初に新井淑則代表の冥福を祈り、黙とうをしました。    参加者は、13名で会員8名(オンライン参加2名含)、学生2名、ヘルパー1名、講師と付き添いの方2名。  議長は岡安さん、各号議案は、学生さんが朗読しました。  第一号議案 2022年度活動報告。        2022年度活動総括  第二号議案 2022年度決算  第三号議案 2023年度活動方針  第四号議案 2023年度予算  第一から第四号議案まで、各号ごとに採決しましたが、質問、意見が無く拍手で承認されました。  尚今回、集合待ち合わせに問題があり、人数確認が不十分なままに、駅の誘導係(2名)が、12時半のバスに乗ってしまった、が反省点となりました。  また、会員の方には、議案書とイベントの資料を7月31日に郵送しました。   総会イベント報告                     宮城道雄 7月29日実施の教育ネット総会後にイベント「中井問題を考える」が実施された。中井先生が2023年度の板橋区から練馬区への転勤の際、異動先校長から暴言を受け、休職に追い込まれたこと。その経過と、教育委員会の対応の問題点、中井先生の手紙による訴えに対応がなかったこと。これらの現実について考えるという内容で開かれた  前半は3名の方から報告があり、後半は解決に向けた討論が行われた。 最初は事務局の岩井さんから、問題の発生経過、異動校校長の暴言、教育委員会の対応の問題点が明らかにされた。そして今回の問題の特徴や困難店が何かが語られた。 第二に中井先生本人から、現状と本人の要望と希望が報告された。そして第三に講話 「うつの実際と社会の現状」というテーマでさいたま市心の健康センターの曲渕祥子先生のお話があった。うつ病の概要とその社会状況についての話であった。最後に東京都の障害者活躍推進計画の概要と教育委員会との話し合いに活用できるポイントについて事務局の宮城から報告が行われた。その後に討論が行われた。開始が大分遅れた関係で話し合いの時間が大分割愛されてしまった  すでに7月25日に都教委との交渉を持っており、次は練馬区との話し合いになるという流れができていた。そしてそこで今後の方向を明確にすることが必要であった。今回オンライン形式で2人の方が参加でき、富山の荒井さんから、いろいろと意見を聞くことができた。中井先生の復職したいという強い気持ちが感じられ、中井問題の中身が掘り下げら れ、課題が深まり方向性が明らかとなった。 中井一雄先生が休職に追いこなれた問題の 解決に向けた対教育委員会交渉の中間報告   はじめに  本稿は、中井先生の問題(詳しくは本誌2023年春号「教育ネットワークの皆様」中井一雄を参照)を解決するために中井先生と共に本会が東京都教育委員会(7月25日)ならびに練馬区教育委員会(8月14日)と話し合いをもった内容の報告である。  中井先生の問題は鬱と視覚障害が絡み、3つの教育委員会をまたいだ厄介で一筋縄ではいかない問題である。もとより本会事務局の1人1人が解決に向けた正答への導き方を熟知していた訳ではない。むしろその逆で、手探りで兎に角にも教委交渉を始めたというのが実情だ。だが、私たちには「障害者差別解消法」と「雇用促進法」という法的な武器があり、それを携えている。これらを如何に巧みに使いこなすかが、この先の正否を分けるカギとなるであろう。   1、中井問題の特徴と課題  ここで中井先生の問題の発生と経過をおさらいしておこう。 ①中井先生は、めり膜に転出する以前に板橋区のT小学校で副校長として3年間勤務した。  (鬱と視覚障害の症状があったが、合理的配慮・必要な支援があって勤務を続けられた) ②2022年3月16日 練馬区立H小学校に異動の挨拶に行き、A校長より差別的な暴  言を受ける。 ③同年4月 練馬区立H小学校に副校長として転勤したが、4月6日から勤務できなくな  った。(うつ病で休職) ④同年4月12日 練馬区教委の指導課長と教職員係長に経緯を話す。 ⑤同年9~10月 板橋区教育長・練馬区教育長・東京都教育長の3教育長宛に手紙でこ  の件を伝え、何らかの対応・救済措置を要望する。 ※この後、東京都教委に話し合いを求める(2023年7月)なでは約9か月間にわたり中井先  生は放置されてきたに等しい。  教育ネットとしてとらえた中井問題の特徴 ア、障害者差別解消法などで合理的配慮の制定後に起こった就労・転勤おける本格的な差  別問題である。 イ、管理職の障害者への差別問題は教育ネットには未経験な問題である。 ウ、視覚障害と「鬱」の2つの障害が絡み合っている。  さらに中井先生の復職を射程に入れると、2つの特徴も浮かび上がってきた。休職に追い込まれるまでのA校長の差別発言を核とした一連の問題を解決して中井先生の尊厳の回復・地位の保全を求めていく活動(側面A)と復職に向けた条件を整備を保障させていく活動(側面B)である。  そこで本会は教育行政との直接交渉を通じて実現を目指す次の課題を設定した。 1、中井先生の要望を公式のルートに載せ、中井先生の尊厳の回復・地位の保全・生活の  保障を求めていく。 2、復職に向けた必要な措置や配慮を当局に約束させる。 3、中井先生が継続して働けるように必要な機器や設備・人的なサポート態勢・通勤など  における安全性などを、当局は中井先生と相談・確認のうえに確保する。  かくして本会は東京都教委と練馬区教委のそれぞれの責任を明らかにするために、2つの教育委員会に話し合いの要望を行った。   2、東京都教委交渉 日時 7月25日 午前11時過ぎから約2時間   会場 都庁第2庁舎 本会側の出席者 中井・宮城・飯島・岩井・(岩井ヘルパー) 教委側の出席者 定信(職員課服務担当係長 ハラスメント対応)・他1名(記録に専念)  本会は、上記の3つの課題と2つの活動(側面AB)とに基づき大きく2つの交渉内容を設定し、回答を求めた。 ◆問 A校長の暴言への対応さらに中井先生を放置してきた都教委の責任は?  回答、A校長の発言等は練馬区教委が対応する問題であり、現時点では練馬区教委から  は何の報告もない。都教委に中井先生からの申し立てがあった旨を練馬区教委に連絡し、  適切な対応をするように指導する。この案件はハラスメントの申し立てとして自分(定  信)のところに回ってきているので、障害者差別への申し立てとしての案件ならば、自分  には権限がない。 ◆問 復職を実現させるために、都教委に合理的配慮に基づく必要な措置をお願いしたい。  解答、練馬区教委がなず対応することであり、そちらで話し合ってほしい。 分析 定信さんの姿勢は頑なであり、本会の質問・要望には自分の権限外のことで答えら    れない、という解答が多かった。発言は慎重であり、言質を取られないように注意    を払っていた。(次回の交渉開催の要求に対しては最後まで約束しなかった) 評価 ほぼ門前払いに近かった。    都教委の問題点、ハラスメント担当が出てきて、ハラスメントの問題として扱い、    障害者差別の問題としては扱わない姿勢。「練馬区教委が担い解決する問題だ」とい    う発言に終始して、自らは直接解決を図ろうとしない。中井先生の手紙を受け取っ    て9ヶ月も放置していた責任には頬かむりしている。 成果 中井先生と本会の切実さや本気度は伝わったものと思われる。    定信さんから「都教委に中井先生からの申し立てがあった旨を練馬区教委に連絡し、       適切な対応をするように指導する。」の発言を引き出したので、練馬区教委へのつな    がりを付け、交渉の舞台を練馬区教委に移していく方法も考えられる。    3、練馬区教委交渉 日時 8月14日 午後2時から約2時間   会場 練馬区役所 本会側の出席者 中井・中井妻・宮城・飯島・岩井 教委側の出席者 山本(教育指導課長)・稲玉(教育指導課係長)・高橋(教育指導課教職員    係) ◆中井先生が、A校長の差別発言を核とした一連の問題に関わる質問の文書を提出し、回  答を求めた。次頁がその文書(抜粋)である。 以下の点についてご確認・回答をいただきたく存じます。 1 R4年4月12日の聞き取り後、H小学校校長の言動に対する事実確認を、いつ・どのようにしてくれましたか。 2 1で分かったことは、どのようなことですか。 3 それによって、うつ病ががひどくなり副校長が休職になった事実について、校長への指導、都教委への報告、ハラスメント・差別発言の認定はしましたか。 4 異動の際、板橋区教委から練馬区教委に、いつ・どのようなことが引き継がれましたか。 5 異動カードには、障害について記載されていましたが、練馬区教委ではその認識はありましたか?また、その情報をH小学校校長に伝えましたか。 6 教育長に手紙を出しましたが、どのような対応をしましたか。なんのリアクションないため、不安に感じ、知りたいです。 7 都教委の定信氏は、「練馬区教委に調査・確認の希望を伝えていないから教育委員会は対応しないのではないか。」と言われました。。直接報告・手紙で伝えているのは、調査・確認の希望にならないのでしょうか? 8 都教委の定信氏は、人事異動について、「練馬区で副校長が1人空いて、そこへ近いところから当てはめることがあったのかもしれない。」とおっしゃったのですが、障害をもつ教員が、通常の人事異動と同じようにうごくことがあるのでしょうか。  回答としては、不明や曖昧なものが多く、充分な内容ではなかった。が、都教委よりA校長の発言について調査・確認するようにという指導があった模様で、練馬区教委としてA元校長(本年3月に退職)への調査を行い都教委に報告するという話であった。次回交渉では、この8項目の質問への回答を文書でよういし、併せて口頭で説明することを練馬区教委は約束した。 ◆つぎに、中井せんせいは復職に向けて条件等の整備を要望する文書(文書は省略)を提出  し、説明の後、回答を求めた。  回答としては、復職先が決まらないと具体的な話はできないので、継続して話し合うことになった。 分析・評価 都教委の指導もあり、練馬区教委はA校長の差別発言を核とした一連の問題    を調査し決着を着けねばならない状況になっている。また、復職に向けた対応も柔    軟で前向きの印象を得た。 成果 中井先生の提出した文書への回答が約束され、次回交渉が設定された(9月または1    0月で期日は未定)   4、今後の展開予想  練馬区教委との話し合いは順調のように思えるが、教委の回答が中井先生・本会を満足させるものになるとは限らない。望むことではないが、私たちの取り組みが壁に抑え込まれてしまうこともあり得る。だが、それでも練馬区教委との話し合いがこれからも主たる舞台になることは間違いないだろう。  今後の展開を側面A・Bに沿って考えたい。  側面Aは、休職に追い込んだA校長の差別発言とそれを核とした一連の問題を解決して中井先生の尊厳の回復・地位の保全を図ることである。どのような解決策を練馬区教委が提示するかは未知数だが、それを予想してみよう。  練馬区教委がA元校長の言辞を障害者差別と認定し、A元校長自身と練馬区教委が中井先生に謝罪する。このケースはいわば満額回答だろう。逆に、A元校長は発言そのものを否認 し、練馬区教委も手をこまぬいて何らの対応もできない。こちらのケースはゼロ回答だ。交渉相手に一直線で突き進めば思い通りになるものでもない。かと言って譲れない一線はある。どのラインで練馬区教委と折り合いをつけるのか、私たちの度量と智慧が試される。  焦点となるのは次の2点だろう。A元校長の発言を差別行為(あるいはハラスメント)と練馬区教委が認定するか否か。そして、A元校長の中井先生を排斥する発言によって中井先生が傷つき休職に追い込まれたことを事実と練馬区教委が認定し、1年9ヶ月の長い間中井先生に救済の措置をとらなかった不作為を謝罪するか否かである。  側面Bは「復職に向けた条件を整備させる」ことである。  半年後の2024年4月を復職のゴールとして設定すると、残された時間は長くはない。復職に向けた訓練・復職先の決定・必要な機器や人的支援のの相談とその手配・通勤路や職場の環境把握などが想定され、それらを有機的に結び合わせて効率良く取り組む必要がある。中井先生は視覚障害のリハビリテーションを同時並行で続けるだろう。これらの取り組みを含んだロードマップを練馬区教委と相談のうえ、作成することが望ましい。  注意せねばならないことは、一方的で恩恵的な支援は往々にして障害当事者の役に立たないことである。練馬区教委は中井先生の要望をしっかりと受けとね、よく相談したうえで必要で有効な支援をすることを確約させたい。今後も必要によって練馬区教委との話し合いを想定しておくべきだろう。  これからも紆余曲折があり、再び都教委との交渉が必要な事態もあるかも知れない。なた、弁護士や政治家(議員)の力を借りねばならない展開もあるかも知れない。冒頭で触れたように私たちがやってきたことは手探りであったし、できることも手探りである。中井先生に寄り添って手探りで可能性を引き寄せていく。そして、その創意・工夫が求められている。                    (文責・岩井隆) 教育ネット第28回定期総会の振り返り 岡安 秀展 教育ネット第28回定期総会が令和5年7月29日土曜日に埼玉県障害者交流センターで開催された。当日は気温35度を超える猛暑日だった。 都内の線路付近火災による影響のため、13時からの開催時刻は大幅に遅れた。 参加者は13名、内訳は会員8名(オンライン2名)、ヘルパー1名、学生2名、講師と付き添いであった。 開会式ののち、自己紹介を兼ねた挨拶が交わされた。 第一部定期総会の終了後、10分休憩して第二部では中井先生問題とその復職を考えた。 ここでは、中井先生が休職に追い込まれた経緯と問題の理解・把握及びそれを解決させるための手立てを考えた。 まず初めに中井先生から現在までの状況の報告と訴えをお聞きした。次に、事務局から問題の内容と経過報告 、事務局によるある程度の方向性を提起された。 東京都教委の障害者活躍推進計画の概容とその活用の報告がなされた。 今後、教育ネットは中井先生と連携し中井先生問題に関して教育委員会と交渉する予定だ。 休憩をはさみ、さいたま市心の健康センターの講師、曲渕 祥子先生による講話(「鬱の実際と社会の現状」)を拝聴した。講師の曲渕先生は精神保健福祉士であり私は精神保健福祉士という国家資格があることを初めて知った。 鬱や精神障害など心に病を抱えた方が、スムーズに社会参加や社会復帰できるように相談、生活支援、助言される頼りになる方が社会福祉士以外にも存在することを学んだ。 私は一昨年度より復職し、今年度は異動した勤務地で二年目を迎えた。 通勤方法は昨年度とほぼ同様、電車とバスを利用している。 朝のバスが1本減便され、電車遅延の際にはやむを得ずタクシーを利用する機会が増えた。 退勤時は信号機のない横断歩道を渡る。 昨年度までは補助をされていた先生の協力を得られていたが、今年度はその先生が退職され、新たな補助の先生は配置されず、困惑した。 現状は親切な先生方と福祉課の生徒のご厚意により今年度も安全に退勤できている。 PC環境は昨年度と異なり、勤怠管理システムが導入された。出勤時刻をどこに入力すればよいのか、退勤時刻を打刻する場所がどこにあるのか、音声は全く反応しない。施行当初は入力作業が難航し超過勤務となる日があった。音声の問題は未解決であるが、訓練することで登録できるようになった。 年々ペーパーレス化が進みスクリーンリーダーで読むことができない形式のPDFファイルが増えた。技術を駆使して可能な限り読み取っている。技術の進歩によりできなかったことが少しできるようになる喜びを感じつつ、これからも感謝の気持ちを忘れず明るく元 気に毎日を過ごしたい。 2023年度ノーマライゼーション教育ネットワーク第28回定期総会に参加して埼玉大学教育学部3年 鈴木陽菜 先日は、ノーマライゼーション教育ネットワーク第28回定期総会に参加させていただき、ありがとうございました。教育ネットの活動方針や活動内容について知るとともに、障がいを持つ職員への教育現場の合理的配慮や支援について考える貴重な機会となりました。 定期総会の内容、特に中井先生が抱える問題について、次の2点から私の考えを述べさせていただきます。 1つ目は、教育委員会や練馬区の転勤先の校長の、中井先生への対応についてです。中井先生が受けた言動や今回の問題の経緯を聞き、まずは転勤先の校長の心ない対応に驚きを感じました。中井先生のお気持ちを思うと深く心が痛みます。また、教育委員会の対応に関しても、正直なところ不信感を抱いてしまいます。これらの対応が他の地域や社会においてすべて共通するものではないと思いますが、今回のようなことがある以上、変えたり、改善していかなければいけない点は多くあるのではないかと考えます。その中のひとつとして、教育機関での障がいに対する理解のさらなる広まりが必要だと考えます。私自身、教育現場の現状や取り組み、歴史などについて学ぶ中で、障がいを持つ児童生徒への支援や合理的配慮は多く実施されていると感じています。しかし、障がいを持つ教員や職員への支援や合理的配慮についてはこれまで取り上げられたことが少なく、その実施が十分でないと感じます。今回の問題の原因のひとつとしても、障がいに対する理解の低さがあると考えます。また、個人的なイメージとなってしまうかもしれないのですが、教員にはひとりですべてのことを責任を持って行わなければならないというイメージがあると考えます。教員には在籍する児童生徒を守り、教育する責任があることは事実ですが、働き方が多様な形となっている社会の中で、教員同士が協力し合ったり、教育現場と他の機関で連携をとるなどして、働き方がより柔軟になり教員が安心して働くことのできる環境を整え、それが広まることが重要だと考えました。 2つ目は、障がいを持つ職員に対して、まわりの人ができる支援や配慮についてです。今回の内容に、副校長育成支援アドバイザーが視覚障害のサポートをしてくれたことや、授業や採点、事務処理のお手伝いをする補助者が配置されたことがありましたが、私自身そのような配慮がされていることを初めて知りました。今後もひとりひとりの状況に合わせて環境が整えられていくことを願います。それに併せて、身近なまわりの人ができることはないか考えました。私は養護教諭を目指しているのですが、今回の中井先生の出来事で養護教諭が出てこないことを少し疑問に思いました。養護教諭は児童生徒だけでなく、職員の健康にも関与します。教育現場において健康を専門にする職として、身体のことや心のことについて相談しやすい存在になったり、共に働き方について考えたり、カウンセラーへつなげるといったことを、私自身できるようになりたいと思いますし、その認識が広まればと思います。 今回の定期総会で、障がいや病気を持つ先生方が抱えるものや教育機関の現状、皆様のお考えを知り、私はまだまだ知らないことがたくさんあるのだと実感し、これから学び考えるとともに、将来教育現場で働く際にはひとりの教員として課題を改善できるよう尽力したいと思いました。 改めまして、定期総会に参加させていただき、考える機会をいただけましたこと、感謝いたします。皆様のご健康とノーマライゼーション教育ネットワークの益々のご発展をお祈り申し上げます。 令和5年8月27日埼玉大学教育学部3年 鈴木陽菜   ノーマライゼーション教育ネットワーク第28回定期総会に参加して令和5年8月27日埼玉大学教育学部3年 奥山紗也佳 育学部で学び、「合理的配慮」という言葉を何度も耳にしてきました。また、以前から宮城先生のお手伝いをさせていただく中で、先生が障害を持たれた後も教員生活を続けられた陰には私たちの先輩である学生のお手伝いがあったとお聞きし、学校という場は障害やその支援に理解があり、障害を持っていても学べる・働ける、そんな場所だと感じていました。しかし、今回の総会にお手伝いとして出席させていただいたことで、学校によって当事者支援の在り方には大きな差があるという現実を知りました。中井先生の事件のことをお聞きし、人を育てる職業である教員、そしてその教職員をトップでまとめる立場の人が障害を理解しようとせず差別的な対応をとっているということに大きな衝撃を受けました。 昨今ではノーマライゼーション教育という言葉もよく聞きますが、障害を持つ児童生徒も含めた包括的な教育を行う前に、障害を持つ教職員も適切な支援を受けて働くことができる環境づくりが必要であると強く感じました。一方で岡安先生の勤務されている学校では適切な支援が行われていることをお聞きし、学校もしくは地域によって対応が大きく異なるという現状は私にとって衝撃的なものでした。すべての教職員の安全や権利が守られる学校はどうしたら作っていけるのか自分自身でも考えていきたいと思います。 また、精神保健福祉士の先生による講演を聞くことができたことはとても貴重な経験でした。特に、うつ病がどんな病気かという知識はありましたが、それに対して環境の調整など楽に過ごせる工夫をみんなで考えていくこと、まわりの人は本人のつらさを受け止めながらゆっくり見守ることを理解することができました。学校は精神疾患を抱える児童生徒への配慮だけではなく、教職員の職場としての側面があることを教職員全員が理解・共有し、必要に応じて迅速に環境の整備や見守りをできる制度や雰囲気づくりが必要だと思います。しかし、身体的な障害が理解されずに差別的な対応をされている学校もある現状では、うつ病のような一見目に見えない障害を学校全体で理解しサポートしていくのは簡単なことではないと思います。身体的な障害に対する合理的配慮に加えて、うつ病のような目には見えない障害にも理解しサポートしていく環境を作ることも今後必要であると感じました。 今回、宮城先生のご縁で総会を運営するお手伝いをさせていただき、私自身が将来働きたいと思っている学校現場を経験された皆様の意見を聞くことができました。今後、教育学部で学んだり学校現場に関わったりする時には、今回の定期総会で知った現状や当事者の方の思い、それを受けて挙げられた意見を心に留めて、当事者支援の在り方を考え実行できるよう努めていきたいと思います。この度は貴重な経験をありがとうございました。