ノーマライゼーション・教育ネットワーク 会員通信 2023年春号  ~2023年4月5日発行~ 【代表】新井淑則   【事務局】宮城道雄 〔ホームページ〕  URL:http://www.japan-normalizatio.com/ 連絡先〈 郵便 〉〒344-0041 埼玉県春日部市増富763-1 飯島気付             〈 電話 〉090―5994―5131(宮城)             〈メール〉rsj78162@nifty.com(宮城) 会員の皆様、読者の皆様、会員通信2023年春号を発行することになりました。  27回総会以後、教育ネットとして、ホームページの改修をすることになりました。見やすくインパクトのあるホームページにするために,会の紹介の作成しトップページに載せることにしました。現在撮影中ですが、その動画は4月中に出来上がる予定です。ホームページをご覧ください。  また、昨年12月に新会員の中井一雄先生(東京都練馬区小学校副校長)が入会されました。自己紹介文を掲載します。 ノーマライゼーション教育ネットワーク、略称教育ネットとは 、  私たちは障害を持つ教師が勤務継続をするための、視覚障害や下肢障害などの障害を持つ教師と支援者の市民の会です。学校現場のノーマライゼーションの実現を目指して活動しています。 小学校、中学校高等学校等様々な校種の視覚障害や下肢障害等の障害を持つ教師がいます。障害者になっても創意工夫とパソコンなどの機器の利用と努力で授業や教育活動を継続する方法が確立されています。私たちはそれらを学び障害があっても充実した授業や教育活動ができるように学習し研修活動をしています。  私たちは各当事者との交流を深め協力し合い、障害に応じた働き方を考え、それぞれの物的人的心的な条件を明らかにします。学校や教育委員会にその条件整備を要望し交渉をもって実現します。  2016年に障害者差別解消法と改正雇用促進法が施行されています。行政の責任者や事業主は障害者の働くための条件整備をすること、すなわち合理的配慮の提供が社会に求められています。 私たち教育ネットはこれらの法律の裏付けのもとに、教育現場のノーマライゼーションを実現し障害があってもそれを意識することなく生きられる共に生きる社会を目指して活動しています  教育ネットの活動は、毎月定例会を行い、会員通信を発行しています。また、定期総会を夏に行い講演会を実施してきました。  20周年記念誌を発行しました。  多くの仲間の皆様が会に加入していただき、共に生きる社会の実現に向けて会の活動を拡大して活発にしていきましょう。  ノーマライゼーション教育ネットワーク   連絡先は以下の通りです     代表 新井淑則   事務局 宮城道雄   ?? 344-0041  埼玉県春日部市増富763-1 飯島光治 着付    電話 090-5994-5131 (宮城)    メール rsj78162@nifty.com (宮城) 教育ネット紹介の動画脚本  これから教育ネット事務局員に教育ネットとは何かについてインタビューします。 Q ノーマライゼーション教育ネットワークとはどのような会ですか。 A 略称で教育ネットと言います。視覚障害や下肢障害等の障害を持つ教師とその支援者の市民の会です。学校現場のノーマライゼーションの実現を目指して活動しています。 Q ノーマライゼーションとはどのような事ですか。 A 障害があっても無くても共に生きていける社会、障害者が障害を意識しないで生きていける社会を作り上げることです。教育ネットは教育現場のノーマライゼーションの実現を目指して活動している会です。 Q代表はどのような方ですか。 A 視覚障害を持つ新井淑則教諭が代表をしています。埼玉県の皆野中学校で国語科の担当をして担任も務めています。2022年3月退職されました。 Q 病気や事故で障害を持った教師が、教師を続けられますか。  A 教師として授業を行い、教科指導でテストの採点や事務処理を行います。生徒の生活指導など、障害を持ったことによる困難を様々な創意工夫をし、パソコンなどを使ってやることができます。 Q 視覚障害者教師はどうするのですか。 A 視覚障害の場合は、文章を書くために音声ワープロを利用できます。教科書や色々な文章を読むために、朗読ボランティアに読んでもらいます。それをCDにしたものを聞きます。点字を学ぶことも必要です。また、視覚障害の補助者にテストの採点や評価等の事務処理の補助をしてもらったり、また授業では一緒に授業をやり補助をしてもらいます。そのために教育委員会に事務処理や授業の補助のための人的配置をしていただくことが必要になっています。本人の努力と工夫と前向きの姿勢が大切です。 Q 車いす使用の障害を持つ人ではどうですか。 A 段差を解消してスロープの設置が必要です。エレベーターが利用できる環境が必要ですね。  Q 障害者になったとき同じ仲間と連絡が取れればと思いますが。 A 仲間と連絡を取り合い障害を受け入れることが大事なことだと思います。教育ネットは視覚障害者が多かったですが、下肢障害や内部障害、リュウマチ等の教師も存在しました。現在は退職されてしまった方もいますが、それぞれ仲間と知り合い様々な情報交換をすることが大切です。 Q 学校現場では障害者教員を受け入れるのですか。 A 全盲の教師や車いすの教師は実際に働いています。障害者が働くための法律的裏付けとして障害者雇用促進法と障害者差別解消法があります。  Q 障害者雇用促進法とは何ですか。 A 民間企業や行政で障害者が一定の割合で働けるように定めた法律です。民間企業で障害者の雇用率を達成できなかった企業にはペナルティーがあります。行政組織では、障害者活躍推進計画を作成することが義務付けられています。  Q 障害者差別解消法とは何ですか。 A 2016年に施行されました。障害者の個性が尊重され人権が保障されるために、不当な差別を禁止し、合理的配慮の提供が社会に求められています。 Q 合理的配慮とは何ですか。 A 障害者が働くために、企業主や行政の責任者は、障害者が働くための条件整備を行わなければならないことになっています。条件整備、すなわち合理的配慮です。民間企業の場合は、その負担が一定の限度を超えない範囲でと断りがあります。 Q 障害者活躍推進計画とは何ですか。 A 障害者雇用促進法により策定することになっています。 3年から5年間を目途に各行政は作成されることが多いです。 障害者職員の相談活動や、環境整備や研修活動を行う。そのことで障害者職員が働けるようになります。 Q 会としての活動は何をしていますか。 A 月に1回定例会、会員通信の発行、毎年夏に総会の開催、同時に講演会等を実施しています。 また2017年に、20周年記念誌を発行しましたのでお読みください。 Q 障害を持つ当事者に対しては何をしますか。 A 困難を抱える当事者に対しては、会員で話し合いや具体的な対応策を考えます。学校や教育委員会に要望を提出し、それを実現します。 Q 会として特に訴えたいことは何ですか。 A 新しい会員の方が加入してほしいです。障害を持った当事者の方は、勿論です。同時に、インターネット等のIT技術を使いこなせる方が是非入会していただければと考えています。   以上でインタビューを終わります。        新会員の中井さんの自己紹介文です 教育ネットワークの皆様 はじめまして。教育ネットワークのお仲間に入れていただくことになりました中井一雄(なかいかずお)と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 【自己紹介】 名前  中井一雄(なかいかずお) 住所  東京都板橋区 家族  妻、子供3人 罹患名 錐体ジストロフィー、うつ病 所属  東京都練馬区立小学校 副校長 病状  中心暗転、視野・視力共が両目同時に徐々に低下していく 現在の状況 私は、令和4年4月に板橋区立小学校副校長から練馬区立小学校副校長に命を受け、異動いたしました。しかし、4月6日から勤務できておらず、休職しております。  板橋区立小学校で3年間副校長を務め、その時は、視覚障害手帳5級を取得しておりました。視野の中心が2分の1以上欠けており、視力・視野が徐々に低下していました。また、それ以前からうつ病も患っており、こちらは精神障害者福祉手帳3級、20年近く定期的な通院そして医師の指示の下、勤務に当たってまいりました。板橋区立小学校での副校長時は、区教委及び職場の教職員にもトップシークレットで病状を伝え、周囲の理解と温かい支援を得ながら職務を全力で遂行してまいりました。見えにくい部分は、副校長経験者の育成支援アドバイザーがサポートをしてくださり、メールの印刷や調査などは助けてもらっていました。アドバイザーの支援は、区教委の配置でもありましたが、アドバイザーご本人が私の病状をよく理解して勤務してくださっていました。  板橋区教育委員会指導室長と教職員係長との毎夏面談の際は、「困ったことがあれば何でも言ってください、支援します。板橋で定年まで頑張ってください。」などと励ましの言葉もいただいており、心強い思いで職務を遂行していました。ところが、他区への異動となり、ダブルハンディキャップがある身にはとても大きな試練・挑戦となりました。「はしごを外される」とはこういうことを言うのかと思いました。それでも、他区で障害者が働くことで自分にも周囲にも意味があると信じて移動を受け入れました。いつしか、顔出しをして、テレビなどのメディアで、障害があっても副校長をやっている、願わくば視覚障害の校長として生きた教材になれれば、などと青写真を描いたこともありました。希望をしておらず、手帳も提示しダブルハンディキャップがあるにもかかわらず他区への異動は、よほど板橋区・東京都に事情があったのだと推察いたします。区が変わる、環境が変わる、役所の場所が変わる、システムが変わる、仲間が変わる、周囲の理解者・支援者が変わるのは、視覚障害者であり精神障害者には、不安でしかありません。  続いて、令和4年3月末に異動先の練馬区立小学校に挨拶に行った際、校長から言われ大変悲しいショックを受けたことをお話しします。 ① 事前に前任校の校長先生と電話でお話されていたようですが「障害がある人が来るなんて聞いてない。練馬区教育委員会に聞いても何も知らない、何も引き継いでいないと言っている。いったいどうなってるのかしら。」 ② 校長先生から体調の状況を問われ、視覚障害の状況とうつ病で定期的な通院をしていることをお伝えし、周囲の理解と支援をもらいながら仕事を進めてきたことなどをお話ししますと、「こっちが悲しくなっちゃう。情けなくなっちゃう。」 ③ 「本当は前任の副校長を出したくなかった。どうしてこんな人事になっちゃったのかしら。しょうがないから、副校長支援の人材を他校から剥がして来てもらうようにお願いしてあげている。」 ④ 「勤務校の校長先生からは、とにかく人柄がいいと聞いたが、あなたには校長の補佐をしてもらいます。それができないなら、シッポ巻いて板橋に帰ってちょうだい。」 ⑤ 「目が見えなくて授業の指導なんてできるの?問題行動の児童の指導ができるの?見えないのにどうしてできるの?」 ⑥ 「校長選考はどうしてるの?そんなんだったら受けない方がいい。だって無理でしょ。よく考えて。」 など、人権侵害、障碍者差別、障害者に対する侮辱、選考の機会を奪うなど大変心が傷付く出会いとなりました。私は必要とされていないと気付きました。なるべく早く消えた方が本校のためだと思いました。無責任ですが本当に申し訳なかったのですが、始業式・入学式前から通えていません。  4月の中頃、力を振り絞って練馬区の指導課長と教職員係長に30分という制限時間で経緯をお話しさせていただきました。その際、係長からは「だから、支援の先生を付けてあげた」と言われました。合理的配慮としての人的配置というより、仕方なくやりくりをしてあげたというニュアンスでしかありませんでした。その後、課長、係長から何のリアクションもありませんでした。  私が弱い人間なのでしょうか。受け止め方が間違ってたのでしょうか。 障害がある管理職が安心して働ける環境整備や理解、配置の配慮などについては、私は開拓をしていく使命が運命なのかも知れないと思いつつ、現在は気力がすっかりありません。今回のことは、どこの、誰に、聞いていただいて助けてもらえるか全く分からず、無気力のまま一年が過ぎました。この内容は、板橋区教育委員会教育長、練馬区教育委員会教育長、東京都教育委員会教育長に同時に手紙で伝えさせていただきました。今後、何らかの対応、救済措置をご検討願いたく期待しました。他の障害やハンディキャップのある職員も、安心して気持ちよく勤務できるよう、さらにご配慮願えると幸いです、と申し添えました。私は、まだまだ現場に戻れる体調ではなく、もう一年お休みをいただくことになると思います。このまま辞することも、ちらっと考えてしまうことがあります。私は、板橋区にも練馬区にもどこにも必要ではない存在だと悲しく無念な気持ちに行きついています。もう退職しようか、どうやって生きていこうかと、不安と悲しみに落ち込みました。  しかし、東京都新宿区四ツ谷の日本視覚障害職能開発センターの職員の皆さんや埼玉県所沢市の国立障害者リハビリセンターの職員の皆様から、「仕事を辞めないで復職できるように準備をするといい」「退職するのは簡単」「当事者にしか発信できないことがある。周りを変えていくことができるはず。」と励ましていただき、何とか、退職する気持ちを踏みとどめることができました。 ちょうどその頃、たまたまテレビで全盲の中学校教師のドキュメンタリーを見ました。盲導犬を連れて定年最後の授業をしていらっしゃいました。全盲の教師が生徒の前に立つことはとても意味があると伝わってきました。そして、視覚障害がありながら教師を続けている人が全国には大勢いることを知り、自分も情報を得ながら自分らしく職場に戻れたらいいなと考えるようになり、教育ネットワークのお仲間に入れていただくことになりました。 どうぞよろしくお願いいたします。     令和5年2月20日                                  中井 一雄 「よしのり先生、最後の授業」の感想                            飯島光治   2023年1月19日、NHKの30分番組で、再放送です。感動しました。  番組から 1.新井さんが、野球部とおもう生徒にノックをしている所。玉を受け取り、新井さんが球を上げ、バットで。 お見事です。 2.授業中、生徒一人一人に声をかけていく。ティームティーチングなのでできるのですが  新井さんだけでは。 3.3年生のクラスで「一番良い所、一番悪い所」で今までの教師生活の中で、一番悪い所は、成績が悪いこと。一番良い所は、一年生の時入学するとき、お母さんと相談したことがあった。皆はその生徒を温かく迎えてくれた。その時みんなを3年間見るぞと思ったとありました。 以上の言葉は、長く残るのではと思いました。  番組で宮城さんのことが出てきます。「宮城先生から新井さんも授業できるよの言葉があるから現在の自分がある。」とありました。宮城さんから私が話を聞くと言葉だけでなく、実際各地の授業見学をしています。  またティームティーチングの龍口先生。長瀞中学校時代の落合先生は、新井さんが皆の中学校に移ってからも支援に来てくれた。お二人ともテレビに出てきました。  新井さんの言葉として教師と生徒は、「上下関係に」あるが、私の場合は生徒に協力してもらい、「上下関係」だけではない。そこに特徴がある。とありました。  新井さんは、日々の仕事をしながら、今まで毎年の公開授業、多くの講演、また本も書かれています。本当にご苦労様でした。私は講演を聞いていますが、はっきりした分かりやすい言葉でした。  所で今までの新井さんのテレビで、教育ネットの事が紹介されていません。新井さんの中学校復帰では、長い間県教育委員会との交渉がありました。新井さんは教育ネットの代表として、月1回の定例会には、秩父から参加しています。  尚、今回会員通信(2022年12月8日発行)にお知らせした2 の放送日が変更と連絡がありました。会員の方からそのことでお電話がありました。  こういうことがあるんだと。          (2023年2月記)