新井先生の授業を見学して(宮城道雄)

 24日皆野中学校で1年2組の5時間目の新井先生の授業を見学しました。再び中学校に戻って、長瀞中7年間、皆野中3年目で10回目の授業見学となります。新井先生も数少ないベテラン教員であり、36人の生徒が集中して授業に取り組んでいる状況があり日常の指導の成果だと感じました。男子生徒が元気があるのか、女子生徒がやや声が小さいような感じがありましたが、このクラスの特徴であると後程、説明がありました。ベンチという教材で、ユダヤ人差別を扱ったもので、ドイツ人は緑のベンチにユダヤ人は黄色のベンチに座らないといけないことになっており、違反すると重罰が科せられるわけです。私はそんな差別があったことに愕然とし、フランクル作の夜と霧を思い出しました。国語の授業としては道徳の授業との違いはどこにあるのかなどと言う問題も出ていたようです。しかし、私としては、今回新井先生の従来のティームティーチングが1学年の学級減に伴い今まで通り新井先生を補助する部分が支障をきたしたため、ティーチングアシスタントを要望したわけです。、その設置が9月末日から実現し、ティーチングアシスタントと共にどのように授業を展開するかが公開された授業だと言えると思います。
 ティーチングアシスタントは授業準備や教材つくり、テストつくりや採点成績処理の事務作業の補助を行うとともに、授業を新井先生と一緒に行うことが大事な仕事です。
 授業を行うとき、ティーチングアシスタントは全盲の新井先生が見えないゆえにできないことを補助することが一つの仕事です。

 授業を行うとき、どちらの先生が主で、どちらの先生が従でであるかと言うのではなく2人で授業つくりを行うという立場が重要なのではないでしょうか。それぞれの先生が生徒たちをしっかりと把握して生徒の方を向いて一緒に指導するという立場です。新井先生もできることは可能な限りやるという事で授業が展開されていました。新井先生は授業の表題や課題を黒板に自ら書いていました。課題文章を全員で音読し、当事者の気持ちや感情が表現されたところを棒線をふし、それを発表させるものでした。アシスタントの先生は生徒の動きに注目し、生徒の音読の様子や、生徒のそばまで行き棒線を引く作業に注目し、作業の進行状態を把握し、それを新井先生に伝えるというだけではありません。一緒に授業を作り上げていくという立場で、生徒に接し、生徒を指名し、個々に指導もしていました。新井先生も机間巡視を行っていました。2人の先生が力を合わせて授業をより良いものにと創造する事。新井先生が見えないがゆえにできない生徒把握などの点で、アシスタントの人の力が有効に働く中で、授業が充実する方向が作られていくように感じました。ティムティーチングとティーチングアシスタントの授業の違いはどこにあるのかなどやティーチングアシスタントは新井先生の補助に専念するだけでよいなどという事では無いと思われます。二人の先生でより充実した授業内容を作り上げるにはどのように授業を行えばよいかを考えて授業を展開することが極めて大切なことです。それぞれの先生が個々の生徒をきちんと把握して、適切な力添えをする中で、新井先生の見えない部分が補助された形が成り立ち、充実した指導が行われると思われます。