新井問題(2)(公立中学への異動を求めて)

 新井教諭は、2001年から2003年までは、秩父養護学校で肢体不自由部門高等部で学級担任をした。国語・自律活動の授業を週12時間、そして担任として職場体験・就労支援なども行った。そして、3年間、点字プリンター・音声パソコンの公的支援を受けた。2004年から2007年までは、県立盲学校で高等部普通科の学級担任をした。国語・自律活動の授業を週12時間、チームティーチングで行った。林間学校・修学旅行などの引率を行い、又、寄宿舎舎監としても勤めた。
 持ち時間の軽減、授業における人的支援(チームティーチング方式で同僚に補助的に入ってもらう)を受けた。教材準備などでは校内に対面朗読などのためボランティアを導入し、サポートの時間を時間割に組み込むことができた。
 外部のボランティアサポート体制を確立することに成功した。しかし、採点や成績処理には関われないという制限があった。又、事務的業務は同僚の善意に頼っているなどいくつかの問題点があった。埼玉県教委に要望書を提出して毎年交渉を行ったが、
①視覚障害を補助してもらえる職場介助者(ワークアシスタント)の配置。
②以前勤務していた公立中学への異動。
 ①のワークアシスタントに関しては、教職員定数配分と財政難を理由に、頑なな回答しか得られなかった。②については、2004年度から県立盲学校へ異動となり、通勤時間は片道2時間10分とひどいものになった。①②について、8年間、毎年埼玉県教委と交渉を行った。教育ネットとしては、通勤経路のチェックを行い、あまりにも危険であると県教委に報告し、不当であることを訴えた。その改善のため、地元の公立中学への異動を求めた。県教委としては、予算が多くかかることと生徒のためと称して、見えないのは困ると訴えを退けようとした。しかし、条件整備にかかる予算は、障害者と生徒が共に生きるというノーマライゼイションの理念から、何よりも大切だということを、私たちは強調した。しかし、埼玉県立盲学校へは4年間勤務することになった。そこで、2007年、教育ネットは、民主党の浅野目議員に要望の実現を訴えた。
 そして、浅野目議員は埼玉県議会で知事に以下の内容について質問した。
*片道2時間30分の通勤時間何とかならないのか。
*公立中学への異動を希望しているが、どうなのか。
県知事は、新井教諭の要望に前向きに対応することを約束した。そして、以前新井教諭の講演を聴いた長瀞町町長が受け入れを表明した。そしてついに、2008年に、長瀞町立長瀞中学校への異動が実現した。